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NARRATIVES
BY INTERMEDIATORS

  • 執筆者の写真インターミディエイター事務局

「OJT」から「コ・ラーニング」へ:上下ではない、新入社員との新しい関係の築き方

竹内 祐介 株式会社ダンクソフト 開発チーム マネージャー


ダンクソフトの本社オフィス
ダンクソフトの本社オフィス。ダイアログ・スペースとしても利用可。対話が誘発されるデザインになっている。


メンバーが足りない

2019年から2021年にかけての約2年間、退職者が相次いだ影響で、ダンクソフト開発チームのメンバーは私含め2名となっていた。人数が不足していたため、既存製品・サービスの運用・保守に追われ、本来やりたい新機能の開発には手が回らない状況だった。

新しいメンバーを迎えて、チームの開発力を向上させたいと考えていた。



待望の新メンバーが入社、そして退職

 

そんな中、2021年4月に新卒社員を迎えることになった。待望の新人である。彼が一人前になってくれれば開発リソースが増え、新しい事にも着手できる。期待がつのる。


採用面接と入社後面談の際、私は次のような質問をした。


「あなたはスペシャリストになりたいですか? それともジェネラリストになりたいですか?」


これは、私が開発チームのマネージャーになって以来、チーム・メンバーとの面談で、必ず行う質問だった。ダンクソフトの開発チームは、開発だけしているわけではない。開発業務以外に企画・提案・運用・保守も行う。本人の希望をあらかじめ聞いておけば、ある程度の路線に合ったタスクを割り振ることができる。彼は「ジェネラリスト」と答えた。それであれば、開発(プログラミング)研修に加え、社外の方も交えたミーティングのファシリテート役やPマーク(個人情報保護)担当も任せよう。


入社時期はコロナ禍であったため、基本は在宅勤務とし、週に1度だけ徳島オフィスで私と顔を合わせ、仕事や昼食を共にした。在宅勤務の日には、関東在住メンバーも加えた開発チーム全3名のビデオ会議、通称「夕会」を毎日行った。入社から半年ほど経過し、情報技術者の資格試験にも合格するなど、彼のスキルアップは順調だった。このペースなら2年目からは機能開発も任せられそうだ。そう思っていた。


しかし、2021年末ぐらいから体調不良を理由に休む日が増え始めた。聞くと夜眠れない日があるらしい。原因については、私はおろか本人さえも分からない。そして、体調は改善されず、1か月程度の休職を経て、2022年4月に退職となってしまった。「しっかり休養して体調を治してから戻ってくればどうか」と慰留したが、「開発者という仕事をずっと続けていく自信が無い」との返答であった。開発業務への興味が湧かなかったのか、私と2人だけの徳島オフィスは窮屈だったのか、開発外の業務が合わなかったのか。いずれにせよ、開発者の楽しさを伝えてあげられなかったことは悔いが残った。これで、開発チームのレベルアップは振り出しに戻った。


ダンクソフトの徳島オフィス
ダンクソフトの徳島オフィス

新メンバー達との再出発:新入社員との新しい関係の築き方


前述の退職者と入れ替わる形で、2022年4月、再びダンクソフトに新人が加わった。しかも、今回は開発チームに1人、Webチームに1人、なんと一挙に2人も徳島メンバーが増えることとなった。私を含めると3人となる。今回は新人同士で相談しあえるだろう。やはり「2」より「3」がいい。


開発チームへ配属された新メンバーにも「スペシャリスト/ジェネラリスト」の質問をした。彼は「スペシャリスト」と答えた。


前の反省から、いくつか改善を試みた。まず、徳島オフィスで顔を合わせる日を週1から週2に増やした。夕会はもちろん毎日行うが、やはり実際に会っての対話も大事だ。また、開発外のタスクであったファシリテート役やPマーク担当は私が引き取った。興味が湧いた時に自分から手を挙げてもらおう。


2人が加わってもうすぐ1年が経つ。幸い2人ともダンクソフトを楽しんでくれているようだ。また、開発者としての成長も著しく、当初のテーマだった「開発チームの開発力」も大きく向上した。ハードウェアについては、若いメンバーのほうが私よりも詳しいので、昼食を取りながら最新動向を教えてもらう事もしばしば。「リバース・メンタリング」(注1)というやつか。


加えて、これは私の心境の変化もあるのだが、口頭のアドバイスを少し減らした。私自身の活動・作業量を増やし、それを見て感じてもらえればと考えている。アドバイスが指示となり、メンバーを強く引っ張り過ぎぬように。


最後に、私が常々行ってきた「スペシャリスト/ジェネラリスト」の質問について、いま考えるところがある。この質問は、2分法思考に囚われていなかっただろうか。メンバーをどちらかの既定路線に当てはめようとした択一的な質問になっていなかっただろうか。これからは、もう少し幅を広げて、3分法思考/多元的思考で、質問から対話に変えていこう。メンバーがもっと自由に成長し、各人の成長の総和が開発チームの形となるように。



注1)「リバース・メンタリング」:年長者が若い人たちに上から知識を教え込む時代は終わりました。これからは、それが逆転して、むしろ若い世代に学ぶ時代、そして、ともに学びあうCo-learningの時代です。特に、デジタル分野についてはそれが顕著です。



 

活動分野: 社内メンバーのエンパワリング

発揮したインターミディエイターのマインドセット:

 □3分法思考/多元的思考

 ☑エンパシー能力

 ☑多様性・複雑性の許容

 ☑エンパワリング能力

 ☑対話能力

 □物語り能力

 ☑エンゲイジメント能力



 

Certified Intermediator


竹内 祐介


株式会社ダンクソフト

開発チーム マネージャー

竹内祐介さん(ダンクソフト開発チームマネージャー)

1978年徳島生まれ。東京大学工学部マテリアル工学科卒。大学卒業後、地元徳島のソフトウェア会社にて10年間勤務。2012年に退職。転職活動期間中、徳島県神山町でサテライトオフィス実証実験を行っていた株式会社ダンクソフトに出会う。「都会と地方」を結ぶ働き方に共感し同社に入社。徳島サテライトオフィスを設立し開発業務を担当。また、2018年より阿南工業高等専門学校の非常勤講師も務める。「都会と地方」「企業と学校」の間で、場所と時間にとらわれない「新しい働き方」の普及を目指す。



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