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NARRATIVES
BY INTERMEDIATORS

  • 執筆者の写真インターミディエイター事務局

遠隔でも成長できる場へ オンラインの情報共有と信頼関係のつくり方

更新日:2023年1月4日

竹内 祐介 株式会社ダンクソフト 開発チーム マネージャー


遠隔勤務における情報共有

 2012年5月、私はダンクソフトに転職した。ダンクソフト初となる徳島県常駐の社員だった。配属先は開発チーム。私以外のメンバーは全員東京勤務である。


 最初の1か月は在宅勤務、東京出張、そして徳島県神山町合宿にて研修を行った。この1か月の研修を通して、東京勤務のメンバーとの最初の関係づくりが出来た。その後、暫定的な在宅勤務環境のままでは作業効率が上がらないので、ダンクソフトとお付き合いのある徳島市内の企業の席をお借りすることになった。別の会社の人間が部屋の一角で働いていたわけだが、皆さん優しく接してくれた事を今でも鮮明に覚えている。


 遠隔勤務開始当初に困ったのが情報共有だった。開発業務を進める上での相談が東京側で口頭にて行われ、その相談結果が徳島側に伝わってこない、といった事が度々起こった。これまでダンクソフトはサテライトオフィスの実証実験を重ねてきたが、実際に遠隔で常駐社員を持つのは初めてだった。東京メンバーとしても、良い進め方が分かっていなかったのである。原因は他にもあった。東京―徳島間の連絡にはビデオ会議システムを用いていたのだが、前述した席の間借りの関係もあり、小声かつ手短に済ませなくてはならず、伝達が不十分となっていた。



道具と風土

 

 情報共有の課題に対し、いくつかの側面から改善に取り組んだ。まず、きっかけとなったのが徳島の2人目の社員である。私の前職の同期だ。早い段階で徳島メンバーを1人から2人にしようと社長とは相談していた。新しい働き方にチャレンジしている事に共感してもらえ、仲間になってくれたのだと思う。彼が入社して早々、開発チームにタスク管理システムを導入した。情報の伝達漏れを防ぐのに役立つツールだ。もともと前職でも使っていたツールなのだが、私ひとりの時はなぜか開発チームに対して使ってみようと言い出せずにいた。新しい職場のやり方に馴染もうとするあまり、改善提案が出来ていなかった。さっそく2人になったことの力が発揮される形となった。


 次に、徳島オフィスの設立に取り組んだ。徳島メンバーがさらに2人増え、総勢4人となった。そこで、前述した企業の部屋を出て、現在の徳島市沖浜町に“徳島サテライトオフィス”を構えることになった。新しいオフィスでは常時接続のビデオ会議システムを設置した。東京メンバーの顔がいつでも見られるようになり、個別の相談もしやすい雰囲気となった。


 最後に取り組んだのは「風土の醸成」だった。タスク管理システム、ビデオ会議システム常時接続によって、情報共有の量と質は向上した。しかし、どうしてもリアルのコミュニケーションには劣る。この差により、本来の意図が正確に伝わらないケースもあった。この問題に対する解が、風土の醸成である。対話をする上で重要なのは信頼や共感であると思う。遠隔で仕事をしていると自分から表出しないと気付いてもらえないため、オンライン上で極力自分の存在をアピールするようにした。幸い、ダンクソフトでは半年に一度、全国各地に散らばる社員を集めた全社集会を行っている。会社の方針を共有する場なのだが、普段遠隔で勤務する私にとってはオフラインでも東京メンバーと親睦を深める貴重な機会にもなっている。




若手のエンパワリングに注力

 ツールの導入により、情報共有は大幅に改善された。現在では、タスク管理ツールを開発チームにとどまらず会社全体で使っている。遠隔勤務するメンバーは徳島以外にも多く増えたが、どの拠点もビデオ会議システム常時接続を導入している。また、オンライン、オフラインの双方で信頼関係を築き、離れていても円滑に仕事が進められるようになった。遠隔勤務者にとどまらず、会社全体のエンパワリングに寄与できたと思う。


 現在、私は開発チームのマネージャーを務めている。ダンクソフトにはマネージャーは東京にいなくてはならないと言った固定観念は無い。私は徳島にいながら、経営陣と担当メンバーのあいだに立ち、かつ、東京・徳島・その他の地域にいる開発メンバーのあいだに立って開発業務を遂行している。


 今後は若手メンバーのエンパワリングにも注力していきたいと考えている。経験を積んだメンバーであれば遠隔であっても業務を遂行できる環境は整ってきた。一方で、業務の進め方自体が身に付いていない若手メンバーにおいては、そうでない場合もある。まだ方法は見えていないが、若手メンバーが遠隔でも成長できる場をつくっていきたいと思う。




 

活動分野: 遠隔ワークでのチーム活性化

発揮したインターミディエイターのマインドセット:

 □3分法思考/多元的思考

 ☑エンパシー能力

 ☑多様性・複雑性の許容

 ☑エンパワリング能力

 ☑対話能力

 □物語り能力

 ☑エンゲイジメント能力



 

Certified Intermediator


竹内 祐介


株式会社ダンクソフト

開発チーム マネージャー

1978年徳島生まれ。東京大学工学部マテリアル工学科卒。大学卒業後、地元徳島のソフトウェア会社にて10年間勤務。2012年に退職。転職活動期間中、徳島県神山町でサテライトオフィス実証実験を行っていた株式会社ダンクソフトに出会う。「都会と地方」を結ぶ働き方に共感し同社に入社。徳島サテライトオフィスを設立し開発業務を担当。また、2018年より阿南工業高等専門学校の非常勤講師も務める。「都会と地方」「企業と学校」の間で、場所と時間にとらわれない「新しい働き方」の普及を目指す。



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