top of page
marble-white.jpeg

NARRATIVES
BY INTERMEDIATORS

ひとりひとりの一歩とともに、TAKASHIMA BASE は歩み続ける

  • 執筆者の写真: インターミディエイター事務局
    インターミディエイター事務局
  • 4月1日
  • 読了時間: 5分

更新日:4月4日

瀬川航岸 TAKASHIMA BASEディレクター

一般社団法人ぼくみん/株式会社ぼくみん



滋賀県高島市のTAKASHIMA BASEに関わり、農業を始めた女性

はじめの一歩、ハナさんは偶然にやってきた

ハナさん(仮称)が TAKASHIMA BASE のオープンデーにやってきたのは突然だった。「どうも、寄ってみたよ」彼女は私と同い年で、大学で農業を学んでいた。卒業後、となりまちから高島の農園に就職。155cmほどの背丈で、細目の笑顔がふだんの表情。思ったことは真っ直ぐに言葉するが、やわらかな口調で話す人だ。読書が好きで休みの日は自宅で過ごすことが多いらしい。共通の友人である漁師のコアユさん(仮称)が働いている漁港とハナさんの職場の農園は近く、コアユさんがハナさんを連れて TAKASHIMA BASE に遊びにきたことをきっかけに、私はハナさんと出会った。


この日のオープンデーは、ハナさん以外だれもこなかった。TAKASHIMA BASE の活動は、たしかに広がっているものの、どこか発展途上。扉をあけているだけでは、「なにかがはじまる場所」というコンセプトを体現することはできなかった。



つぎの一歩、よりひらかれた場のために

状況を変えていくのは今しかないと考えた私は、「BASEのベース」という語り合いの場をはじめていた。context(コンテクスト)を共有することから、地域の人びとの主体的な参加・関与と、協働的な運営の実現を目指したのだ。


まずは高島在住の 20代 7名に声をかけて、隔週ペースで 3回実施することに。1回目はカードゲーム、2回目は大喜利。遊び心が解き放たれ、この場に集まったひとりひとりの声が生まれるとてもいい企画だった。

「BASEのベース」で語り合いを盛り上げる媒介となったカードゲーム
「BASEのベース」で語り合いを盛り上げる媒介となったカードゲーム

ハナさんがやってきたのは、3回目の「BASEのベース」がひらかれる前日だった。「ハナさん、明日、BASEのベースにあそびにきてよ。」「ん〜、わたし、真面目な話し合いとか、まちづくりとか、イヤやねんな。」「そうだよね。」と私は応答しながらも、ハナさんのように率直な意見をくれる存在、まちづくりに関心を持っているとは言えない存在が、この場を必要としてくれることが重要に思えた。私は、これまでの自分について話はじめた。


このときは、身体が勝手に語りはじめたという感覚が近い。きっと、ハナさんとの重なり合いを探したかったのだ。大学生のとき、人と関わるのが嫌になって閉じこもってしまった。毎日映画を観るしかできなかったが、1冊の絵本との出会いをきっかけに人生が展開し、ぼくみんと出会う。人との出会いが、人の可能性をひらくと知ったという話だ。「なんか瀬川くんの印象が変わったわ。でも、大事にしてるものはずっと変わってないんやね」ハナさんはうれしそうに帰っていった。


3回目の「BASEのベース」、いつものメンバーが集まるなか、ハナさんはふらっとやってきた。「なんか、やっぱりいきたいなって思った」。これまでのBASEのベースで共通言語を深めてきたメンバーは、もちろん大歓迎だった。


この日のテーマは、『ひとがいきいきする〈ルール〉のデザイン』。ハナさんは、「遊びに来てもお金を払えないのが怪しいと感じる。はじめて TAKASHIMA BASE に来る人はきっとどう過ごしていいのか、なにで応援したらいいのか分からないと思う」という意見を伝えてくれた。周りの仲間たちも頷いている。そこで、TAKASHIMA BASE は、これまで大切にしてきたものを大切にしながら、より多様な入口を用意し、経済の循環をつくる一歩として、カフェ営業をはじめる宣言をした。


2025年5月にカフェはオープン。「BASEのベース」に集まっていた仲間たちは、過ごしやすい空気をつくってくれている。特にハナさんは、毎週必ず訪れてくれるようになった。ハナさんの一歩からはじまった対話が、TAKASHIMA BASE の一歩となり、窓が開いたかのように風通しがよくなったのだった。



さあ、もう一歩、これからの地域へ

とある日、いつものようにハナさんは遊びにきてくれた。しかし、どこか疲れた様子だ。この場をきっかけに友人が増え、最近は仕事終わりに予定が増えていると言う。自分で畑を借りたらしく、もっと農作業をしたいはずなのに、毎日のように約束があるようだった。


気になった私は、ハナさんと2人で食事に出かけることにした。私はハナさんに「ハナさんの大切にしたいことを応援したい。コーヒーを飲んでお話する以外の方法でも、TAKASHIMA BASE は関われる。ハナさんの畑で採れる野菜を一緒にブランドとして育ててみようよ」と伝えた。ハナさんはまたうれしそうな笑顔を浮かべて、「安心した。私にとって大事なことを大事にしてくれてありがとう」と言った。


2025年7月中旬、4回目の「BASEのベース」をひらくことにした。私は、「これからは、なにかがはじまるのを待つのではなくて、自らなにかをはじめていくタイミング。自分の人生の大切にしたいことに向き合って行動していこう。TAKASHIMA BASE はみんなを応援する場になります。きっと近くの人の一歩にもつながるから。」という話を共有した。


そして、ひとりひとりがこれから半年間ではじめたいことを言葉にした。ハナさんは、「自分の畑で採った野菜を商品にする」と言った。みんなは「農業手伝ってみたい」「その野菜で調理したい」と、ハナさんと一緒に未来を描いた。ハナさんのさらなる一歩をきっかけに、TAKASHIMA BASE の周辺では、これから主体的な取り組みが色とりどりに生まれてくるだろう。




活動分野:起業支援、地域づくり

発揮したインターミディエイターのマインドセット:

☑3分法思考/多元的思考

☑エンパシー能力

□多様性・複雑性の許容

☑エンゲイジメント能力

☑エンパワリング能力

☑対話能力

☑物語り能力


Certified Intermediator


瀬川航岸 

TAKASHIMA BASEディレクター

一般社団法人ぼくみん/株式会社ぼくみん


インターミディエイター 瀬川航岸

1999年生まれ、滋賀県東近江市出身。2022年大学卒業後、ぼくみんでの活動をはじめ、滋賀県高島市「TAKASHIMA BASE」で、「開かれた対話と創造の場」をつくりだしている。ディレクターとして、カフェ・書店・リソグラフスタジオ・コワーキングを兼ね備えた文化施設の運営や、イベント・プログラムの企画を手がける。出会いと対話から、ひとの可能性をひらき、地域の物語の編集に挑戦する。




コメント


bottom of page