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NARRATIVES
BY INTERMEDIATORS

「壁の内と外」を媒介するアート展:“あいだ”をむすぶインターミディエイターたちの挑戦 

  • 執筆者の写真: インターミディエイター事務局
    インターミディエイター事務局
  • 2 日前
  • 読了時間: 5分

更新日:1 日前

第2回刑務所アート展(2024年)
2024年に開催された、第2回 刑務所アート展

◆第3回 刑務所アート展に向けたクラウド・ファンディング


「刑務所アート展」は、受刑者たちの絵画や詩、手紙などの作品を通じて、社会と“壁の向こう”にいる人々とのあいだに、静かで力強い対話を生み出す場です。


現在、クラウド・ファンディングが進行中です(5月26日まで)。今年で3回目を迎えるこのアート展開催に向けて、協力を募っています。


このプロジェクトを主催するのは、プリズン・アーツ・コネクションズ(PAC)。共同代表の鈴木悠平さんと、コミュニティ/コミュニケーション担当である黒木萌さんは、共に有資格インターミディエイターでもあります。彼らは、刑務所という閉ざされた空間と、私たちの暮らす社会との「あいだ」に立ち、表現を媒介に人と人との"関係の網の目"を丁寧につくり、共感と回復の循環を生み出そうとしています。



◆2024年、第2回 刑務所アート展で体感したこと


私自身は、2024年に開催された第2回のアート展を訪れました。限られた道具で描かれた絵、手書きの作品カード、そして受刑者の封書。そこには、制約の中で、なお表現しようとする強い意志と、外の世界と関わりを持ちたいという切実な願いが込められていました。「内」と「外」、「加害」と「被害」といった二分法では語りきれない、複雑で豊かな人間の姿が、そこにはありました。

そして気づかされたのは、作品そのものが“インターミディエイター”として機能していた、ということでした。受刑者から生まれた表現が、壁の外側にいる私たちの心に届き、そこに対話が生まれます。人と人が直接会うことができなくても、作品がその“あいだ”を結ぶ媒介となっています。

同じくインターミディエイターの上杉公志さんと共に訪問し、記事を書きました。


▶「刑務所アート展」を訪ねて:2分化された世界を感じ、エンパワリングを考える



◆初日に行われる、黒木萌さんによる公開ダイアログ


今年、展示初日となる5月24日(土)11:00〜14:30には、黒木萌さんがホストするダイアログ・イベント「わたしたちのあいだにあるもの」が開催されるそうです。


▶わたしたちのあいだにあるもの-刑務所アートを見ること、語ること、わかちあうこと-

(5月24日(土)11:00〜14:30)


このイベントは、これまで黒木さんが丁寧に対話を重ねてきた方々と企画されたもので、ご本人も「対話を続けてきた結果、こんなふうに協働が実現できることがうれしい」と語っています。アートをきっかけに、他者と向き合い、語り合い、わかちあう時間を持ち、対話の大切さをより多くの人たちに感じてほしいという、黒木さんの願いが込められているようです。



◆見知らぬ誰かが、見知らの誰かの思いを汲み取る、「手紙」という表現メディアをめぐる企画


鈴木悠平さんによる企画も行われます。今回の刑務所アート展では、「手紙」を作品として募集していました。たった一人の人に宛てた手紙を募集し、43通の手紙が全国から集まりました。それらがすべて作品として展示されるそうです。鑑賞者は、送り主も宛て名もわからない、匿名の手紙を読むことになります。手紙を書いた人からすれば、思いを宛てた人ではない見知らぬ誰かに、自分の思いを汲み取ってもらう機会です。そしてそこに、また新たな対話が生まれる可能性があるというユニークな設えです。


▶「あなた」への手紙 第3回刑務所アート展特別企画 作品鑑賞と対話

5/31(土)15:00-17:30

6/5(木)13:00-15:30

6/6(金)13:00-15:30

6/8(日)15:00-17:30


応募作品として送られてきた、さまざまな「あなた」へ宛てられた匿名の手紙を読んで、れぞれに感じたこと、考えたことを分かち合ったのち、誰か一人の「あなた」に宛てて手紙を書いてみる、というワークショップです。



また、4月に鈴木さん・黒木さんをスピーカーにお招きして開催したオンライン・ダイアログの様子も、記録した動画・音声で公開しています。インターミディエイターであることと重ねて、刑務所アート展での活動を、ご紹介いただきました。


▶オンライン・ダイアログ「Prison Artsを通した越境的対話」をケースに─排除の原理から漸進的包摂へ─

(2025年4月14日 開催/インターミディエイター・プログラムPresents)


🎬YouTube

🎧 Podcast

📄 当日のプレゼンテーション資料(PDF、閲覧のみ可)



黒木萌、鈴木悠平、オンラインダイアログのイベント案内




このアート展は、単なる展示会ではないと考えます。それは、社会の中にある「見えない壁」を問い直し、私たち一人ひとりがその“あいだ”に立つことをうながす、”開かれた対話と創造の場”の実践といえます。今回の第3回は、1ヵ所の場所に展示するのではなく、墨田の街の中に、アートを点在させ、街ごとでアートを楽しむ設えになっているそうです。まさに“あいだ”をむすび、次の展開を生み出すインターミディエイターらしいご活動です。


クラウド・ファンディングや刑務所アート展に参加するだけでなく、他にも、協力したり参加したりする様々な関わり方が、用意されているようです。


このプロジェクトに、みなさんも参加してみませんか?


📍刑務所アート展 2025 開催概要

  • 会期:2025年5月24日(土)〜6月14日(土) 

  • 開場時間:11:00〜19:00(会期中無休)

  • 入場料:無料 

  • 会場:

メイン会場:京島劇場(東京都墨田区京島3丁目23-11)

サテライト会場:・電気湯(墨田区京島3丁目10-10)・サテライトキッチン(墨田区京島3丁目48-3)

  • 展示作品テーマ: 

    テーマ①「あなたへ」―たった一人に向けた匿名の手紙たち 

    テーマ②「刑務所の中からのお願い」―内と外のコラボレーションに向けて 

    自由部門:刑務所の中から外へ届けたい表現をなんでも募集!

  • 主催:一般社団法人 Prison Arts Connections助成:一般財団法人川村文化芸術振興財団「ソーシャリー・エンゲイジド・アート支援助成」



写真・文:松原朋子


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