大理石の表面

Initiative Story

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なぜ富士通徳島支店は存続したのか?〜地球課題・地域課題に当事者として取り組む起点づくり〜

​濱上 隆道 富士通Japan株式会社 徳島支社長


 #地球課題 #社会課題 #価値創造 #徳島 #濱上隆道


徳島支店廃止の危機 5年後にビジネスは半減するかもしれない


徳島市の様子

 2020年4月、富士通に入社して以来29年間勤務してきた本社から初めて転勤した。グローバルに活躍する大手製造業担当から一転、地域の公共サービスを担務する徳島支店への異動である。


 徳島支店は全国的にみて小規模支店で、平均年齢52歳、徳島勤務が長いメンバーが多い。私にとって全てが初経験である上に、世界的なパンデミックの状況下でもあった。


 支店ビジネスでは、基幹システム更新の活動を中心に継続してきた。支店経営は安定していると思われたが、オープン化の流れの中、重要な基幹システム更新に富士通は参入できていないという直近の状況を知り、5年後にはビジネスは半減するかもしれないという危機を感じた。


 その上、上司から「来年、大規模組織変革に伴い徳島支店は廃止になるだろう」という話もあった。「私の使命は?これまで徳島支店のやってきたことは、自社の正しい方針に基づいているし、誰も否定しない。従来の競争優位戦略に基づくシナリオの実践は私自身、本社でやってきたことそのものだ。それが崩壊しようとしている」。考え、悩み、自問しながら答えを求めた。識者の本を渉猟しつづけた。先駆者から話を聞き、すべきことを思索し続けた。



世界一の支店を目指したい 徳島という地域の課題解決のために

 2020年5月、富士通はパーパスを発表した。徳島支店の現状を当事者として考えてみた。「支店は社会の縮図。社会課題と言われている課題はここにある。目前の課題を解決しないと、富士通は変わらない、地域課題・社会課題を解決できない」と思いいたった。




 支店メンバーに「世界一の支店を目指したい」と宣言した。メンバーからの後日談では、「この人は何を言っているのか? 数字で世界一なんてありえないし、どの領域で世界一を目指すの?」という感想を持ったそうだ。


 「私たちは、PCを売る会社ではない、ただ単にシステムを構築する会社でもない。 “徳島”という地域の課題解決のために富士通の価値を提供し、それを本業とする会社である」と社内外に宣言をした。


 そして、地元の自治体、外郭団体、業界団体トップ、大学学長はじめ教授、地銀役員の方々に、 「対話」を求めた。支店のメンバーには、これまでの思考のフレームワークと一線を画したデザイン思考を一緒に学んでもらった。さらに課題の共感を起点として当社の価値を提供していくプロジェクトを立ち上げた。



インターミディエイターの講義を受けて 「富士通さん、変わったね」


 プロジェクトは前例がないがゆえに、孤独だった。新しい考え方を前に、社内からも多くの質問が寄せられた。これまでの、四半期ごとの売上やプロジェクトの進捗管理ではすぐに数値的な結果を求められ、不安は大きい。プロジェクトを進めるものの、支店メンバーもこの活動になかなか時間が取れずにいた。それでも、打開の糸口を探し続けた。

 ちょうど時を同じくして、社内の“Vision Talk”講座で「インターミディエイター」の講義を受ける機会があった。多くの新しい発見があった。それを支店メンバーとも共有した。私たちがやってきたことを、自信をもって説明することができた。

 

「インターミディエイター」の考え方を知り、行動をはじめた結果、気持ちが軽くなっていった。メンバーの設定したテーマにも進展があらわれはじめた。お客様との関係も変わった。「富士通さん、変わったね」とも言ってもらえた。「地域課題解決のために、連携協定を結びたい」と外郭団体の理事長から声をかけてもらうこともあった。徳島のマスコミに取り上げられる機会もあり、今、プロジェクトが加速していることを体感している。



なぜ徳島支店は存続したのか?「当事者」として取り組む起点へ


 2021年4月、組織再編の中、「富士通 徳島支店」は「富士通Japan 徳島支社」と名を変えて再出発した。同等の売上ポテンシャルの支店は廃止されていく中、なぜ徳島は存続したのか、誰も明確には答えてくれない。メンバーには「支店はなくなるかもしれないから会社を辞めても自信をもって新しい仕事に踏み出せる経験をしてほしい」と伝えてきた。


 前例のないプロジェクトを地方から起こし、この状況を生み出したことが少しずつ注目され始めた。この活動内容を話す機会も増えた。プロジェクトはさらに新しい局面を迎え、徳島だけでなく、四国4県、兵庫、新潟支社のメンバーとエンジニアを交えて拡大し、8月に再出発のキックオフをした。役員からは、徳島の取り組みを全国へ共有してほしいという要望も受けた。


 昨年始めたプロジェクトは私たちが提供する価値の再定義であり、マーケットの再定義であった。マーケットや当社提供価値の再定義に向けて、活動する全社の個々人が当事者として地球課題、社会課題、地域課題に取り組む起点として、再出発したと言える。今、ワクワクしている気持ちが抑えられない。



◎関連リンク

・富士通Japan Online Days 2022

「~デジタルが変える未来~ 誰一人取り残さない「徳島DX」の実現」

https://www.fujitsu.com/jp/group/fjj/about/resources/events/2022/onlinedays2022/2nd-week.html


◎活動分野:

富士通徳島支店としてのビジネス活動


◎発揮したインターミディエイターのマインドセット:

□3分法思考/多元的思考

☑エンパシー能力

□多様性・複雑性の許容

☑エンゲイジメント能力

☑エンパワリング能力

☑対話能力

□物語り能力



 

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​濱上 隆道

富士通Japan株式会社 徳島支社長


29年間の東京本社での勤務を経て、2020年4月より徳島に着任。これまでの製造業担務から地域での公共サービスを中心にマーケティング、ビジネスプロデューサーとして活動。これまで経験のしたことのない領域へのチャレンジをはじめ、「地域課題解決型ビジネス」のプロジェクトを立ち上げ活動を開始。徳島県の方々とのコミュニティづくりを重ね、開かれた対話を通じた地域イノベーション創出に寄与している。


富士通Japan株式会社




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