Creative Coordination~親子向け科学学習に関する書籍創作~

最終更新: 2018年11月30日

渡辺利江 株式会社コスモピア ジェネラルマネジャー


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書籍創作に携わる偶然のきっかけ


 1994年のある日、当社代表の取材記事を見た出版社の編集者から、親子向けの科学学習の本を出版しないかと打診があった。当時、コスモピアは、「むずかしい科学技術をわかりやすく伝える」というコンセプトのもとに、女性の感性を活かして、先端技術の展示案内やOA機器マニュアル制作等の活動を行っていた。また、技術的知識やビジネスキャリアがありながら、育児等で家庭に入っている女性を対象に、在宅登録型のテクニカルスタッフ制度をスタートしている時期でもあった。


 これらの活動が、同出版のコンセプトに非常にマッチングしているということだった。一つの記事による偶然の出会いが、当社「親子向け科学教育に関する書籍出版事業」のスタートとなり、私が制作管理を担当する事になった。



親子で楽しく読める科学学習本創作の課題


 同書の企画は、「どうして雨が降るの?」「どうしてハサミは切れるの?」など、小学校低学年くらいの子供から訊かれる、身の回りの自然や生活などに関する科学の「なぜ?」「どうして?」などの素朴な疑問に、わかりやすく図解で答える本ということだった。図鑑や教科書ではなく、「身近なできごとの視点から、楽しく読める読み物風に」というのが出版社からの要望。本屋さんや図書館に行っても、そのようなコンセプトの本はまだ見当たらなかった。


 コスモピアの著書がつくれるということでワクワクしたが、何しろ初めての本づくりだ。本屋さんや図書館で手に取っていただき、広く一般の方々に読まれると思うと、もちろん間違ったことは書けない。ましてや親子で学ぶ科学啓蒙の本である。いかに正しくわかりやすい表現で、楽しく読める本にするか。これらのポイントを、どのように、またどんなカタチにするかが大きな課題であった。



項目決定と制作チームとのコミュニケーション


 子供たちによりわかりやすく、楽しく読める本にするためには、どのような内容にしたら良いのか。まず、素朴な身の回りの疑問ネタ集めからスタートした。当社代表のアイディアで、小学生くらいの子供を持つ社員やネットワークしているお母さん達にアンケートを実施。子供から普段、どんな「どうして?」の質問があるのか情報収集した。候補項目について、お母さん社員からのヒアリングや編集者と検討を重ねて、「いきもの」「地球」「人間」「生活」などのカテゴリーで最終74項目に絞った。


 ライティング、イラスト制作、DTPらの制作チームは、コスモピアの在宅テクニカルスタッフで編成した。出版社と擦り合わせたコンテンツイメージを各担当スタッフに伝え、カタチにしていく作業がスタートした。


 テキスト作成のライターには、子供の興味を引くように、なるべく身近なシーンの描写を盛り込むことや、子供と対話するような文体で簡潔にまとめてほしいということなどを依頼し、ライターの考えも聞きながら出版社との調整を行い、全体の流れやトーン&マナーのスタイルを固めていった。



表現と広がりと正しさの追求


 イラストによる図解は、同書の肝だった。デザイナーには、一項目見開きで、大きく自由に配置できる構成、やさしいタッチの手書き文字による話し言葉風の解説補足を盛り込んで欲しいと依頼した。すると、最初のラフ画を見てとても驚いた。そこには、私がイメージしていた以上に、デザイナーの方の発想の広がりによる、もっと楽しくおもしろい世界観が見事に表現されていた。すぐに、とても感動したことをデザイナーに伝えた。結果的に、イラスト表現は同書のコンセプトにマッチングし、その後、シリーズ化された関連著書のスタイルを形作った。


 また、内容の正確性や精度は大きな課題であるため、もと中学校の理科の先生に指導をいただいた。なるべく堅苦しい表現にしたくなかったので、ベテランの先生を相手に、「こんな表現だったらOKですか?」「このイラストだったら大丈夫ですか?」などと困らせる質問もたくさんしたが、許容範囲を探りながら、精度の高いよりわかりやすい表現を追求した。


 さらに、各分野の専門機関やメーカー等の広報に直接ご連絡して、同制作の趣旨をご理解いただき、クレジット掲出と併せて、内容の確認や資料提供を依頼するなど、より子供たちの学習を促進する書籍としての信頼性を高めるよう情報を整えて行った。



発想を膨らませながら共創していく、本づくりの楽しさ


 本の創作は、出版社をはじめ、制作専門のエキスパートや関連分野の専門家など、様々な協力者と一つのイメージや思いを共有し、またお互いに発想を膨らませながら、コラボレーションして創りあげていく作業だ。私も、様々なエキスパートの方々との作業を通じて、とてもインスパイアされた。


 ついに初めての本が完成を迎えたとき、科学の不思議と出会うワクワクや楽しさがどうか伝わりますようにと願った。いろいろな想いや知恵やエネルギーが詰まった1冊ができあがった。書店や図書館などで、この本を手にとってくださったお母さま方や、夢中に読みすすめる子どもたちの姿を思い浮かべてみる。この本がまた「インターミディエイター」となり、作り手と読者を発想の連鎖で繋げてくれるような、不思議な幸せに満たされる。本創りは魅力的だ。


 同書『 子どものどうして?に答える本 』( 著者:科学プロダクション コスモピア/

発行日:1994年11月1日【第1刷発行】)は13刷りを重ねて、発行累計2万部を越え、科学やITに関する当社著書実績は、のべ50タイトル近くの発刊に至った。


コスモピアが出版している書籍

活動分野: Collaborative Management

発揮したインターミディエイターのマインドセット:

□3分法思考/多元的思考

□エンパシー能力

☑多様性・複雑性の許容

☑エンゲイジメント能力

☑エンパワリング能力

☑対話能力

☑物語り能力


Certified Intermediator


渡辺利江

株式会社コスモピア 

ジェネラルマネジャー

武蔵野音楽大学ピアノ科卒業。大学在学中より自宅にてピアノ教室を主宰。20代半ばに株式会社コスモピアに入社、営業・制作担当として従事し現在に至る。IT関連企業等のショールームや官公庁関連施設の運営管理をはじめ、親子向け科学教育や初心者向けのパソコンに関する書籍制作、製品パンフレットや記事制作等の企画制作ディレクション、展示会やイベント等の企画運営、各種事務局運営など幅広い業務に携わる。

http://www.cosmopia.jp/




Editor

福田 容子

「インターミディエイター」は設樂剛事務所の登録商標です

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