徳島サテライトオフィスの誕生

最終更新: 2019年3月7日

板林淳哉 株式会社ダンクソフト 取締役


#地方創生 #テレワーク #テレワーカー #ICT #神山町 #ダンクソフト #板林淳哉


安心の終わりというはじまり


 2011年3月、日本は東日本大震災という大きな衝撃を受けました。その中で東京の日本橋にあるIT企業ダンクソフトも大きな岐路に立たされていました。


 余震は収まらず、停電は繰り返され、原発事故や放射能汚染の情報がとびかい、皆が疲弊していきました。これまで28年、東京の大手企業を中心に提供してきたビジネスも、明日をもわからない状態です。安心して働ける場所がなくなってしまったのです。


 そんな中、ご縁のある方から、四国・徳島の話を聞きました。自然豊かで、関東ほど電気の問題もなく、なおかつ人がいるところでは高速インターネットが使えるというのです。




光の国とくしまへの険しい道のり


 最悪の事態に備え、事業継続のために徳島を代替候補地とするかどうか、社内での検討がはじまりました。Web事業を任されていた私も検討会議に参加していました。


 現地への視察も行われ、視察参加メンバーから「実際に現場業務を徳島で実施できないか」という提案がありました。しかし、当時在宅勤務や関東近県でのテレワークの経験はあるものの、あくまで限られたメンバーのみで、チームで本格的な業務を行ったことはありません。


 社内で何度も話し合いが行われました。


 地方から上京してきた社員はそもそも徳島の話には否定的です。テレワークの経験がない社員もこれまでの業務スタイルを盾に実現不可能と取り合いません。これ以上のリスクを回避したいという彼ら彼女らの思いも痛いほど共感できます。しかし東京にさらに大きな地震、津波が来た場合、原発事故の被害がさらに拡大した場合、このままで良いはずがありません。やる・やらない、のどちらかではなく、みんなにとってより良い対応を求めるために、それぞれの要望や懸念点を聞きながら、会社の事情や想いを丁寧に伝え、丁寧に、丁寧に対話を続けました。


 その環境、その精神状況下で乱暴な判断をすることによって離れていってしまう人が出る可能性もあり、決断だけでなく、情報伝達の言葉ひとつにもとても気を遣いました。


 何とか状況を打開するため、先行して一部社員がテストしてはどうかという意見も出ました。ベテランが現地業務に参加すれば、遠隔業務を成し遂げることはできるでしょう。ただ、それで若手を含めた全員が問題なく業務ができるということにはなりません。しかも主だったケースをテストする時間だけでも数ヶ月単位になってしまいます。


 振出しに戻ってしまった話題を整理しながら、考えていました。この話は社員ひとりひとりに関わる問題なのに、社内でも情報の差があるな…と。


 徳島がベストかどうかはわかりません。ただ、判断を回避するのではなく、それぞれが当事者としてこの問題への対処に関与してもらうためには、皆にも状況を知ってもらうことが必要だと感じていました。とはいえ、打合せやメールで情報伝達すればいいというものではありません。


 ふと思ったことが口から出ていました。

「どうせやるなら、みんなで見に行って判断したら?」


 緊張と疲労で眉間に皺のよったメンバーたちの中で、ゆるいネタとして笑いとともに受け入れられました。しかし、それが眉間のシワを緩めるとともに、固くなって抜けられずにいた考え方の縄をほどき始めたのです。


 「実験という名目であれば…」「2班に分けて東京バックアップチームがあれば…」と会話が転がっていく中で血肉を得て、現実的に実現可能なプランになり、彼らの、そして我々の意見、プランとなっていきました。


 そして2011年9月4日。徳島県神山町の築80年の古民家「ヤマニハウス」に、第1回サテライトオフィス実証実験として、14名の社員が参加することになるのです。




我々のプロジェクトはそれぞれのスタイルで


 2018年、ダンクソフトはメンバーの全員がいつでもテレワークできる環境になりました。


 テレワークはあの頃のように一つの場所に、同じ時間でなくとも、ネットを通じてそれぞれの場所、時間で仕事ができるワークスタイルです。あれから大きな地震や津波は少なくなりましたが、台風や大雨、大雪で移動に支障があるときは在宅勤務を自らの判断で行うことができます。


 徳島には4人の仲間と常設のサテライトオフィスができました。ここはあの時の東京の代替地ではなく、ダンクソフトの新しいビジネスを産み出す場所です。今日も「次のはじまり」の準備のため、徳島・東京間ではメンバー同士がWebミーティングを行う予定です。




活動分野: ワークスタイル変革、IT

発揮したインターミディエイターのマインドセット:

☑3分法思考/多元的思考

☑エンパシー能力

☑多様性・複雑性の許容

☑エンゲイジメント能力

□エンパワリング能力

☑対話能力

□物語り能力


Certified Intermediator


板林淳哉

株式会社ダンクソフト取締役


金融系企業のホームページ構築、運用コンサルティング業務のほか、新規事業部門、経営企画などを担当。2011年の東日本大震災を機にテレワークを実践、各地でのサテライトオフィス普及に務める。2015年より総務省ふるさとテレワーク事業や徳島県阿南市、山口県萩市など自治体のテレワーク推進事業を担当。現在は、遠隔地をICTでつなぐイベント、都市農業と地域をICTでつなぐプロジェクトなどを推進中。


https://www.dunksoft.com/

http://www.tokushima-workingstyles.com/satelliteoffice/office/office05.html https://www.furusato-telework.jp/cont4-2




Editor

福田 容子

「インターミディエイター」は設樂剛事務所の登録商標です

©  SHIDARA & ARCHIPELAGOs  2015

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