地方と都市のあいだを結び、新たな仕事を創出する

最終更新: 2018年11月30日

板林淳哉 株式会社ダンクソフト 取締役


#地方創生 #テレワーク #テレワーカー #サテライト・オフィス #ダンクソフト #板林淳哉


ビジネス・パラダイム転換の波


 工場や大手企業の誘致で成功した経験のある地方都市にも、日本全体で進む人口減少や高齢化という波はご多分に漏れずやってきます。限界や消滅可能性を先に見据えた小さな村や町では、インターネットを活用した柔軟な働き方であるテレワークができる人を都市圏から呼び込み、新しい人の流れをつくり話題となりました。地方都市にも変化が求められるタイミングがやってきていたのです。


 そんなとき、ダンクソフトに白羽の矢が立ちました。テレワーク実践企業であることをご存知の方のご紹介で、東京のIT企業であるダンクソフトが、地方都市のテレワーク推進事業に携わることとなりました。ビジネスはもちろん、広がっていく縁の可能性やおもしろさに惹かれ、私も現地に入りテレワークを実践しながら、テレワーク普及活動を行うこととなりました。



繋がっていく縁(プロジェクト)


 テレワークといってもさまざまです。都市圏からテレワークしている人を呼び込むだけでは、地方都市はこれまでの誘致の経験をなぞるだけです。交通アクセスも抜群ではない地域では大きな効果も期待できそうにありません。代わりに、地域在住の人や、地元に帰りたいと考えている人に、地元でテレワークを活用した新しい仕事を始めてもらうテレワーカー育成が必要でした。こうした「テレワーカー育成」という目標を掲げた時に必要なのは「お仕事」です。ダンクソフトで大量に雇用するわけではありませんし、できるわけではありません。


 ちょうど仕事創出の方法を考えあぐねていた時、ご縁のあった新聞社がWebライティング事業を始めたという話を耳にしました。Web広告会社との協業プロジェクトで、SNSやスマホで展開する多量の案件への対応ができるライター不足に悩んでいました。


「地方でもライティングできるようになれば、お仕事を依頼できるんじゃない?」


そうです。文章に長けているベテラン新聞記者が経験を共有し、テレワークのノウハウがあれば、ライティングは場所を選びません。むしろテレワークに最適です。


「カリキュラムは?」

「…ない。これからつくります(笑)」


新聞記者が文章スキルを身に着けるのは殆どがOJTだそうで、残念ながらライティングの基礎を学べるようなカリキュラムはありませんでした。


 そんな時に、インターネット上で「編集術」を学べるプログラムを持つ学校と接点が生まれました。彼らは我々の取り組みに共感し、地方創生のおもしろい活動モデルだと非常に興味を持ってくれました。既にインターネット上でコースを展開し、日本各地に出身者のいる彼らが、地域のテレワーカー育成のために特別なプログラムを用意してくれることとなりました。彼らの参加によって、『「ベテラン講師」と「特別プログラム」よるライティング講座で学んだ「地元テレワーカー」が、クラウドソーシングで「Webライティングの仕事」をガンガン受けられる』モデルの原型ができ上がりました。


 こうして集まった4社それぞれの特長を活かし、それぞれの課題解決を実現する。この取り組みは、地方創生雇用創出プロジェクト「プロライター育成事業(プロライター育成講座)」と名付けられました。



ゴツゴツとぶつかりながら転がるプロジェクト


 多様な4社と自治体の連携プロジェクトが始まりました。

  

 大きな志は共有しているものの、はじめての試み、はじめてのメンバー、はじめての地域。全てが順調に進むわけはありません。新事業のために各社から選ばれたメンバーは、もちろん柔軟で臨機応変に対応できる人たちです。とはいえ、自治体と民間企業、大企業と中小企業、紙文化とデジタル文化などなど、手続きの内容、数、スピードの違いがあり、情報共有や物事の決断も容易ではありませんでした。

   

 それぞれ、これまでなじんだ手続きや慣習にはこだわらず、電話や紙、メールやSNSなどその場に適した手段を用い、フロントに立っていただいた新聞社の担当者と、必要に応じて東京でも徳島でも飛んでいくというスタイルを取りながら、自治体の担当者とも関係を深めていくことができました。


 そして2016年の秋、はじめての講座開講にこぎつけました。




テレワーカーの誕生


 プロライター育成講座はその後2年で3地域、計7回実施され、54名のライターが誕生し、インターネット越しにライティングの仕事をはじめています。地方都市では参加者の9割が女性で、主に主婦でした。子育てや家庭の事情でフルタイムで働けない人の勤務先には限りがあります。テレワークでのライター業務は、スキルさえあれば制約を越えていかれる魅力的な働き方だったようです。しかし、ライティングで仕事をするには一定の質が必要なため、最前線で活躍できるのは現在3割程度に留まるというのも事実です。依然としてライターの絶対数も、そして最前線で活躍できるライティングスキルを持つ人の数も不足しています。今年も、講座の改善、プログラムの改良、オペレーションの工夫などを実施し、新たなる場所での講座実施を予定しています。



プロライター育成講座 Facebookページ





活動分野: 地方創生、ICT、テレワーク

発揮したインターミディエイターのマインドセット:

□3分法思考/多元的思考

□エンパシー能力

☑多様性・複雑性の許容

□エンゲイジメント能力

☑エンパワリング能力

☑対話能力

□物語り能力


Certified Intermediator


板林淳哉

株式会社ダンクソフト取締役


金融系企業のホームページ構築、運用コンサルティング業務のほか、新規事業部門、経営企画などを担当。2011年の東日本大震災を機にテレワークを実践、各地でのサテライトオフィス普及に務める。2015年より総務省ふるさとテレワーク事業や徳島県阿南市、山口県萩市など自治体のテレワーク推進事業を担当。現在は、遠隔地をICTでつなぐイベント、都市農業と地域をICTでつなぐプロジェクトなどを推進中。

https://www.dunksoft.com/

http://www.tokushima-workingstyles.com/satelliteoffice/office/office05.html https://www.furusato-telework.jp/cont4-2



Editor

福田 容子

「インターミディエイター」は設樂剛事務所の登録商標です

©  SHIDARA & ARCHIPELAGOs  2015

  • Facebook Social Icon
  • Twitter Social Icon